液体や気体など、流体の配管やバルブ類をつないだり塞ぐ目的に使用される鍔(つば)のような形状の部品をフランジといい、ボルトなどの部品で接合することによって隙間を埋め、流体の漏れを止める役目があります。

フランジは、産業機械部品や電子機器部品、建設用部品など、様々な用途や分野で広く用いられています。

今回の記事では、フランジ加工方法やフランジ加工のメリットデメリット、実際に部品として使われている製品事例についてご紹介していきます。

フランジ(flange)とは?

フランジ(英: flange)は突縁や出縁、鍔(つば)を意味しており、円筒形の管や軸の端から出っ張った円盤状の形状をした部分のことを指し、その管や軸をつなぎ合わせる際に使用されます。

工業製品におけるフランジは「2つの配管を接続する継ぎ手部分」などを指す言葉として使われており、主にパイプラインの接合部に使われ、ボルトやナットを通して他のフランジと締め合わされることで、異なる部品や配管をしっかりと固定し、接続する役割を果たします。

また、回転する2つの軸を接続し、片方の軸のトルクをもう片方に伝達する継ぎ手などにも利用されており、様々な用途で使用されてます。

その用途の広さと多様性により、フランジには様々な特徴があります。以下に、フランジの主要な特徴を詳しく紹介します。

  • 多様な素材、材料

スチール、ステンレススチール、アルミニウム、合金、プラスチックなど、さまざまな材料で作られています。特にスチールもっとも一般的に使用される材料で、耐久性コスト効率が良いとされています。

また、ステンレスは耐食性が必要な環境で使用され、耐化学薬品性耐熱性があります。アルミニウムなどの非鉄金属は特定の化学的性質熱伝導性が求められる場合に使用されます。

  • 標準化されたサイズと形状

フランジは、JIS規格ANSI/ASME規格JPI規格、DIN規格など、多くの国際的に標準化された規格に基づいて製造されています。これらの規格はフランジのサイズ、形状、公差、材質、耐圧レベルなどを定めており、確実な接続安全性を保証するために非常に重要です。

  • 幅広い用途

フランジはその用途の広さで知られており、多くの産業分野で重要な役割を果たしています。

以下に代表的な導入用途をご紹介します。

配管システム

フランジは配管の接続に最も一般的に使用されます。水道、ガス、石油、化学物質などの輸送システムで見られ、異なるパイプセクションを確実につなぎ、必要に応じて容易に分解やメンテナンスができるようにしています。

プロセス機器

ポンプやバルブ、圧力容器、ボイラーなどのプロセス機器の接続にもフランジが使われています。

建設業

構造フレームや建設機械の組み立てにフランジが使用されています。これにより、大規模な構造物の組み立てやメンテナンスが効率化されています。

食品・飲料産業

衛生的な環境が求められる食品加工や飲料製造のラインで、フランジは配管やタンクを接続するのに使われており、簡単に分解し清掃ができるようになっています。

エネルギー産業

発電所や変電所において、フランジは油圧、上記などのラインの接続部に使用されています。耐久性と耐圧性が求められる部分にフランジが使用されることにより強度を高めています。

自動車産業

タイヤホイールを取り付ける車軸側のフランジだけでなく、自動車の排気システムにおいて、排気管の接続部分にもフランジは使用されています。

フランジはこれらの用途において、接続部分の強度を高く保つことができ、システムの整合性を保つために不可欠です。その汎用性と効率性により、多様な産業で広く利用されています。

以上の通り、フランジは設計方法と適切な材質の選択によって、極めて多様な工業的環境や形状に対応することが可能です。これにより、効率的かつ信頼性の高い配管システムの構築が実現されています。

フランジの形状の種類

引用:マンガでわかる配管基礎知識

フランジは、さまざまな産業で使われる配管接続部品であり、構造と形状には多くの種類があります。それぞれのフランジは特定の用途や条件に応じて設計されています。

以下に、主なフランジの形状とその特徴を紹介します。

  • スリップオン溶接式フランジ(Slip-on Flange)

パイプの端がフランジの内側に差し込まれ、外側から溶接されます。取り付けが簡単で、コストが比較的低いため、低圧・中圧のシステムに広く用いられています。大きく板フランジとハブフランジに分けられます。

  • ソケット溶接式フランジ (Socket Weld Flange)

パイプがフランジ内のリセスに挿入され、外側から溶接されます。小径の高圧配管に適しており、内部応力を抑えることができます。

  • ラップジョイント(游合型)フランジ (Lap Joint Flange)

スタブエンドまたはラップが必要で、フランジ自体はパイプに直接固定されず、スタブエンドに対して自由に回転できます。フランジとスタブエンドの組み合わせにより、特に頻繁に分解・検査が必要なラインでのメンテナンスが容易になります。

  • スレッド(ねじ込み式)フランジ (Threaded Flange)

内部にねじが切られており、ねじ込み式のパイプに直接取り付けることができます。溶接を必要としないため、爆発の危険がある場所や高温環境での使用に適しています。

  • 溶接式ネック(突合せ溶接式)フランジ (Weld Neck Flange)

長いテーパーハブが特徴で、パイプに溶接して使用します。高圧・高温の環境に適しており、負荷と応力がフランジではなくネック部に移行するため、高い強度と耐久性を可能にします。

  • ブラインド(閉止)フランジ (Blind Flange)

中央が閉塞されており、パイプラインやバルブの端を塞ぐために使用されます。圧力試験や流体の隔離に必要な場所で使用され、取り外しが可能です。

  • オリフィスフランジ (Orifice Flange)

流量計測に使用されるフランジで、一対で使用されます。オリフィスプレートを挟んで流体の流速を計測するための穴が開けられています。

フランジの加工方法と種類

フランジの成形加工方法には、様々な方法が用いられています。それぞれ異なる形状・種類のフランジを製造するために特化されています。なお、フランジだけを別に製造し、溶接することでフランジを成形することも多いです。

フランジの加工方法には一般的に以下の加工が用いられています。

① 旋盤加工

回転対象部材に適用される旋盤加工は、NC旋盤などを使用し、回転させた部材に工具を当てることで成形する加工方法です。

外丸削り、面削り、中ぐり、穴あけなどの加工を行う方法で、主に棒状の素材から円盤状のフランジを削り出す場合に旋盤加工が用いられています。

ただし、旋盤加工による加工形状は、連続的な回転対象である必要があります。ですので、フランジの形状も丸形が基本形です。

そのため、複雑な形状のフランジでは、旋盤加工後のマシニングセンタなどによる追加工が必要となる場合がほとんどです。また、必要に応じてねじやボルトを止めるためのねじり加工が行われます。

② 切削加工

切削加工は、マシニングセンタなどを使用し、固定した工作物に回転または直線運動する工具を当てることで、穴あけ、中ぐり、フライス削り、ねじ立て、リーマ仕上げなどの加工を行う方法です。切削加工では主に、旋盤では加工できない角型のフランジ形状の複雑なフランジの製造に適しています。

また、切削加工では高精度の加工が可能なので、特定の条件が必要になるフランジを製造する場合に非常に適しています。

③ 板金加工(絞り加工・曲げ加工)

金属板からフランジを成形する板金加工では、プレス機による絞り加工曲げ加工があります。

絞り加工は容器や管などの形状のものが適しており、曲げ加工は板などのフランジの製造に採用されます。板金加工では大量生産に適しており、特に大きな平面を持つ製品では、フランジを成形することにより、剛性を高めることができます。

  • 絞り加工

絞り加工では、金型に部材を上向き状態でセットし、フランジとなる部分をブランクホルダーで抑え、上側の金型でプレスし成形します。周辺部のフランジ成形と合わせて、容器を製作する際に使われています。

  • 曲げ加工

曲げ加工では、フランジの成形方法が3種類あります。様々な角度に曲げることが可能なV曲げ、1面を90度で曲げるL曲げ、2面を90度で曲げるU曲げといったフランジの成形方法があり、使用用途に合わせて選択が可能です。

フランジの代表的な製品事例

フランジはその利便性から多くの産業で用いられており、工業製品の信頼性と機能性を支える基本的なコンポーネントとして広く、重要な役割を果たしています。

その適用範囲は非常に広く、産業の進歩に大きく寄与しています。では、フランジの加工品の代表的な製品事例の一部をご紹介します。

  • 風力発電機フランジ

引用元:DHDZ 風力タービン フランジ

風力タービンでは、フランジがタワー、ナセル(発電機が収められている部屋)、ブレードなどの主要な部品を組み立てる際に使用されます。特に大型の風力タービンでは、フランジの強度と精度が極めて重要です。

  • 建設機械フランジ

引用元:株式会社ライフク 建設資材 フランジ

建設機械や重機では、フランジが構造部品油圧ラインを結合するために使われます。これにより、強度と耐久性が要求される環境下での機械の性能が保証されます。

  • パイプラインフランジ

引用元:株式会社 木山製作所 ステンレス大径フランジ ガスプラント

石油、ガス、化学産業で使用されるパイプラインシステムには、様々なタイプのフランジが使用されています。これらのフランジは、パイプの接続点や、バルブ、ポンプ、その他の機器をパイプラインに取り付けるために必要不可欠です。パイプラインフランジは、圧力が非常に高い環境下でも使用されるため、特に鍛造された鋼製フランジが一般的です。

  • バルブフランジ

引用元:DCM フランジボールバルブ

さまざまなタイプのバルブ(ボールバルブ、ゲートバルブ、チェックバルブなど)は、フランジを介して配管システムに取り付けられます。フランジがあることにより、バルブの取り外しが容易になり、メンテナンス修理が効率的に行えるようになります。

以上の通り、フランジは様々な分野で用いられています。フランジ加工は単体ではなく、ネジ切りや溶接など様々な加工・技術と組み合わせて加工される場合が多くあります。そのため、フランジの適用範囲は非常に広く、使用用途や設計に合わせて様々な方法で活用することが可能です。

当社の工作機械のご紹介

引用元:"Neoα-16EX", ターニングセンタ(X・Z・C)- 株式会社オーエム製作所様(弊社保有NCターニングセンタ)

当社では計5台の立旋盤(ターニングセンタ)を保有しており、テーブル径Φ(最大旋削外径)は、800[mm](Φ1000[mm])~Φ2800mm、最大旋削高はH630[mm]~H2000[mm]大径のフランジの製造に対応可能です。また、ミリング機能を有している設備もあるため、フランジの外径加工と穴あけ加工をワンチャックで実施できるなど、加工工程の合理化による納期・コストダウンの提案も可能です。下記が当社保有の立旋盤(ターニングセンタ)のリストになります。

型式能力(単位:mm)メーカー台数
NeO-28EXΦ2800(Φ3000)× 2000H(株)オーエム製作所1
NeOα-16EXΦ1600(Φ2000)× 1500H(株)オーエム製作所1
TSS-15SΦ1500(Φ1600)× 630H東芝機械(株)(現:芝浦機械(株))1
FVT-1000MCΦ800(Φ1100)× 850H高松機械工業(株)(FEELER社製)1
TB-14Φ1400(Φ1520)× 1170H東芝機械(株)(現:芝浦機械(株))1

複合NC旋盤 NL3000Y/700 φ420×700L DMG森精機 (弊社保有)

また、当社ではターニングセンタの他にも複合旋盤も保有しており、中・小径のフランジの加工も可能です。

当社におけるフランジの加工事例

当社では高精度な技術が求められるようなエネルギー産業分野や建設機械分野で使用される、大型加工多品種少量の部品製作を行っており、得意としております。お気軽にご相談ください。

以下、当社にて実際に製作した加工事例をご紹介します。

① エネルギー業界向け フランジ形状部品

材質SM400A
サイズΦ400~Φ850×50~100
開発期間・納期の目安15~30日
公差レベル±0.01

本製品は発電プラント向けに製造しましたフランジ形状部品となります。
材質はSM400A、サイズはΦ400~Φ850×H50~H100となっており、複数サイズの部品を製造、納品しております。

今回の製品は寸法公差はもちろん、真円度や平面度等の幾何公差に対して高い要求精度が求められる上で、分割品加工を要しており、弊社の分割品加工の多数実績で得たノウハウを活かして高品質加工を行った製品となります。

分割加工が必要となる丸物、大物品の加工でお困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。

② 医療機器業界向け フランジ部品

材質A5052
サイズΦ850×H30
開発期間・納期の目安10~20日
公差レベル±0.05

本製品は医療機器部品で用いられるフランジとなります。
材質はA5052、サイズはΦ850×H30となります。

中~大径フランジとなり、弊社の保有するターニングセンタを活用した製品であり、マシニングセンタと合わせて加工し、高精度加工を実現しております。

特に、ターニングセンタによる工程の合理化が図れた製品であり、納期短縮も実現しました。

フランジの加工とは? まとめ

本記事では、フランジの加工について加工の種類や特徴、加工の導入事例など当社の設備・事例を交えてご紹介しました。

フランジの加工方法には、材料から削り出す旋盤加工や切削加工、板金から成形する絞り加工や曲げ加工など様々な加工方法がありました。その多様な形状と適用機能で、エネルギー産業から食品産業に至るまで幅広い産業界において必要不可欠な役割を担っています。鍛造や機械加工、板金加工に至るまで、様々な技術がその製造に利用されており、これにより強度、耐久性、そして安全性を備えた製品が実現されています。

当社ではこれまでに培ったノウハウと技術で、高品質・高精度なフランジ加工製品を製作しております。フランジの切削加工に関するご依頼をご検討中の方は、お気軽に当社(株式会社 関根鉄工所)までご相談・お問い合わせください。

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