関根鉄工所が製造したブラケット

弊社ブラケット製品

ブラケットは、機械や構造物において、部品と機器などを固定・支持するための部品です。一般にはL字型や角型の金属部品で、支えたい物を基礎やフレームに取り付ける際に用いられます。一方で、上記の写真のように軸回りに使用される丸物のブラケットも存在します。あらゆるシーンにおいて、ブラケットは機械要素として非常に重要な役割を果たします。例えば、室内の電気設備において、ケーブルや配線、電子機器を支持する部品として、また、建築分野では、エアコンの室外機や配管、照明器具の取り付けにも利用され、構造物や設備の安全性と耐久性を向上させる役割を担っており、ブラケットとは知らずに見たことがある人も多いでしょう。素材としては、アルミニウムやステンレス、鋳鉄、樹脂などが一般的で、耐荷重や設置環境などの用途に応じて選ばれます。
このように、産業界では広く知られるブラケットですが、形状や役割も多岐に渡り、理解しきれていないという方も多いと思います。そこで、今回は大物から丸物を含めた多種多様なブラケットの製造実績も保有する株式会社関根鉄工所が、ブラケットの種類や製造方法などを詳しく解説します。

ブラケットの概要

階段の手すりを支えるブラケット

改めて、ブラケットに関して説明します。ブラケットは、構造物や機械、装置を支えたり、固定したりするために使われる部品の一つです。一般的に「ブラケット」というと、L字型や角型の金属製の部品を指すことが多く、壁や床、機械フレームなどに取り付けられ、他の物をしっかりと固定する役割を果たします。ブラケットは、シンプルな形状ですが、非常に重要な役割を担っており、産業界をはじめ、さまざまな場面で広く使われ、多くの会社にて作られています。

ブラケットの役割と機能

ブラケットの最も基本的な役割は、固定と支持です。たとえば、製造ラインでは機械や装置、部品を正確な位置に保つためにブラケットが使われます。これにより、機械の運転中に部品がずれたり、振動で壊れたりするのを防ぎます。また、ブラケットは建築現場でも頻繁に使われ、照明器具やエアコン、配管の固定にも役立ちます。

もう一つ重要な役割は、負荷の分散です。例えば、大きな装置や機器を一箇所だけで支えると、その部分に負荷が集中し、装置が破損する可能性があります。ブラケットを複数配置することで、負荷を分散させ、装置や建築物の耐久性を高めることができます。

ブラケットの活用シーン

繰り返しとなりますが、ブラケットは産業界において様々な場面で活躍しています。ここで、ブラケットの活用方法について例示します。

  • 製造業

様々な機械やベルトコンベアなど、大きな負荷がかかる機構を持つものや振動が発生する設備を固定するために、ブラケットは必要不可欠です。これにより、機械の安定性が確保され、精密作業が実現できます。

  • 建設業

建設現場では、エアコンの室外機、配管、照明器具の設置にブラケットが使われます。ブラケットによって、建物に取り付けられる設備がしっかりと固定され、安全性と耐久性が向上します。また、建築物の外装や内装を支えるためにもブラケットが利用され、建物全体の安定性や耐震性に寄与しています。

  • 自動車産業

自動車のエンジンや部品の固定にもブラケットが使われます。自動車内部では、振動が常に発生するため、部品がずれないようにしっかりと支えることが重要です。また、排気系やエアコン、電装品を取り付ける際にも、多くのブラケットが利用されています。

  • 電子機器産業

コンピュータや家電製品の内部でもブラケットが広く使用されています。小型の部品や基板、ハードディスクなどを固定するために、軽量で精密なブラケットが用いられ、製品の性能と耐久性を向上させています。

以上のように、ブラケットは機械や構造物を刺さるための重要な部品で、様々な産業や我々の身の回りで活躍しています。また、金属だけではなく、求められる耐荷重が低い場合などは樹脂製のブラケットが用いられることもあり、用途に応じて適切な材質と形状が選ばれます。

ブラケットの形状の種類

ブラケットには様々な形状が存在し、役割も多岐に渡ります。ここで、主だったブラケットの形状をピックアップし、一覧にて、特徴を踏まえて解説いたします。

  • L字型ブラケット

L字型ブラケットは、最も一般的で広く利用されているブラケットの一つです。その名の通り、断面が「L」の形をしており、直角に曲がった2つの面があり、片方を壁やフレームに固定し、もう片方で物体を支えます。このタイプのブラケットは、棚板の設置や小型の装置を固定するために使用されることが多く、家庭や産業現場のあらゆる場所で見かけます。
L字型ブラケットは、強度と安定性に優れた形状で、耐荷重性が高いため、中程度の重量物をしっかりと支えることができます。材質は主にステンレスやアルミニウム、鉄などが用いられ、錆びにくく耐久性に優れたものが多いです。DIY作業でも頻繁に使われ、棚やラックの取り付けなどに、樹脂製のものも用いられます。

  • T字型ブラケット

T字型ブラケットは、断面が「T」の形をしており、水平部と垂直部で構成されています。このタイプのブラケットは、垂直の面に対して水平な部品を取り付ける際に使用されます。例えば、天井や壁から突き出した棚や装置を支える場合に用いられることが多く、三次元的な支持が必要な場所に適しています。
T字型ブラケットは、その形状によって複数の方向からの荷重に耐えることができ、建築や家具の設置に役立ちます。さらに、産業現場では、複雑な機器の取り付けや、多方向からのサポートが必要なシステムの構築に使用されます。アルミや鋼、SUSなどが主な素材として使われ、耐荷重性や耐久性を高めたものが多いです。

  • Z字型ブラケット

Z字型ブラケットは、その名の通り、断面が「Z」の形をしており、複雑な形状をしているため、特定の用途に応じて設計されています。このブラケットは、水平面と垂直面を互いにずらして固定するために使われ、壁と装置、あるいは床と部品の間にズレがある場合に物体を支えることが可能です。
また、Z字型ブラケットは、狭いスペースや不規則な形状の場所での取り付けに適しており、建設現場や家具の組み立て、機械装置の設置などに使用されます。また、デザイン上、見た目を損なわないように工夫された形状でもあり、ブラケットの存在感を感じさせず、美観も高めるために利用されることがあります。小型の電子機器や配管の固定にも最適です。

  • 角型ブラケット

角型ブラケットは、箱型やフレーム状の構造を持つ機器や部品を支えるためのブラケットです。このブラケットは、三角や四角、凸型等のフレームに複数の支持点を持ち、機器やパーツをしっかりと固定します。主に重機や大型機械の部品固定に用いられるほか、小型でも強力な支持力を発揮することができ、強力な支持力が求められる場面で使用されます。
角型ブラケットは、その形状から大きな荷重に耐えられるため、建設現場や製造業で広く利用されています。また、機器の基盤となる部分を安定させ、振動を吸収する効果もあるため、特に精密機器の設置には欠かせない部品です。材質としては、高強度の鋼やステンレスが使われ、耐久性と耐荷重性を兼ね備えています。

  • 軸受け用ブラケット

軸受け(ベアリング)用ブラケットは、回転する軸(シャフト)を支えるために特化した設計です。一般的に、ベアリングをしっかりと固定するために、円形や円筒形のブラケットが用いられます。この形状は、シャフトの回転をスムーズにし、摩擦を最小限に抑えることができるため、精密な回転運動が求められる機械や装置に多く利用されます。
円形の軸受け用ブラケットは、主に自動車や産業機械、プラント製品などで使用されます。これらの機械では、回転する部品を安定して支えることが不可欠であり、円形の軸受け用ブラケットは、荷重を均等に分散させることで、回転運動の効率を高めます。通常、高強度の鋼やアルミニウム合金が使われ、長期間にわたる耐久性と高い耐摩耗性を持っています。

材料やサイズ・強度

超大型ブラケット

引用:超大型ブラケット- 株式会社セイワ工業様

ブラケットの強度と耐荷重は、機械や装置の安全性や安定性に直結するため、設計・製造時には非常に重要な要素となります。特に金属製のブラケットは、機械設備や産業機械の固定に使用されるため、適切な強度と耐荷重の設計が求められます。以下では、素材ごとの特性や、サイズと強度の関係について説明します。

1. 素材ごとの強度特性

ブラケットに使用される金属素材には、主に以下のものがあります。それぞれの素材には特有の強度特性があり、用途に応じて適切な素材を選択することが求められます。

  • ステンレス鋼

ステンレス鋼は、優れた耐食性と高強度を持っているため、屋外や腐食のリスクが高い環境で使用されることが多いです。特に荷重がかかる機械装置の固定に適しており、強度が必要な場合でも長期間にわたって劣化しにくいのが特徴です。例えば、重量のある装置や腐食が懸念される工場内などで使われます。

  • 炭素鋼(カーボンスチール)

炭素鋼は、硬度が高く、コストパフォーマンスに優れています。耐荷重が必要な場面でよく使われ、特に重機や大型装置を固定する際に使用されます。表面処理を施すことで、耐腐食性も向上させることができるため、工業用ブラケットとして非常に一般的です。

  • アルミニウム合金

アルミニウム合金は、軽量でありながら適度な強度を持ち、比較的軽い機械や設備の固定に適しています。また、加工しやすい特性があり、複雑な形状やカスタムメイドのブラケットの製造にも向いています。ただし、強度がステンレス鋼や炭素鋼ほど高くないため、大型装置にはあまり使用されません。

  • チタン合金

チタンは軽量かつ高強度で、さらに耐腐食性にも優れています。そのため、非常に高い強度が必要な場合や、過酷な環境での使用に適しています。ただし、チタンは難削材とも呼ばれ、加工が難しいため、製造コストが高くなることがデメリットです。高精度の機械設備などで使用されることがあります。

2.サイズと強度の関係

ブラケットのサイズは、耐荷重や取り付ける機械のサイズに応じて適切に設計される必要があります。一般的に、ブラケットのサイズが大きくなると、強度も増す一方で、過剰に大きなブラケットを使用すると、材料コストや設置スペースの問題が発生します。そのため、必要最低限のサイズで最適な強度を確保することが設計上の課題となります。

  • 厚さと幅の関係

ブラケットの厚さが増すことで耐荷重は向上しますが、その分重量も増加します。例えば、薄いブラケットでも幅を広げることで同じような耐荷重を得ることができますが、スペースの制約がある場合には適切なバランスが求められます。

  • 穴や切り欠きの影響

ボルトやネジを取り付けるための穴や、軽量化のための切り欠きがある場合、その部分は強度が弱まる傾向があります。穴や切り欠きの配置を慎重に検討し、強度を落とさないように設計することが重要です。

3.設計・製造時の注意点

ブラケットの設計・製造時における注意点として、一般的なものを説明します。

  • 荷重分布の計算

ブラケットにかかる荷重がどのように分布するかは、設計段階で十分に計算しておく必要があります。均等に荷重がかかる場合と、特定の点に集中する場合では、必要とされる強度が異なります。ブラケットが曲がったり、破損することがないよう、材質や構造を慎重に選定します。

  • 応力集中を避けるデザイン

ブラケットの形状や固定方法によっては、特定の部分に応力が集中しやすくなります。特に、複雑な形状や曲げ加工が必要な場合、応力集中による破損のリスクが高まります。これを防ぐために、角を丸くする、負荷のかかる部分を補強するなどの対策が必要です。

製造時に注意すべき点

ターニングセンタでの加工の様子

金属製のブラケットの製造には、切削加工・曲げ加工・溶接加工・組立など、複数の金属加工の技術が用いられます。ブラケットは耐荷重性能や耐久性が求められるため、加工の各段階の高品質化が重要です。ここでは、実際に金属加工によりブラケットの製造を行う弊社が製造時の注意点を説明します。

  • 寸法精度への注意

ブラケットの製造工程において、切削加工による形状加工は基本的な工程ですが、ブラケットは他の物体の固定のためのねじ穴やボルトが存在し、寸法誤差が許されないため注意して加工を行うことが必要です。また、軸受け用のブラケットでは、シャフトの回転をスムーズにする機能も兼ね備えるため、内面の表面粗さも重要となります。
したがって、図面で指定された寸法に従って、間違えずに加工を行う・プログラムを書くこと。また、工具の摩耗に注意して適切な工具を選択するほか、クーラントの活用も考慮し、加工中の熱膨張による精度の低下に注意することが重要です。

  • 曲げ加工時の応力への注意

ブラケットの多くは、形状を作るために曲げ加工が施されます。曲げ工程では、過度な力を加えると金属が割れたり、曲げ部分に応力が集中してしまい、耐久性が低下する恐れがあります。特に硬い金属(例えば炭素鋼やステンレス鋼)では、曲げ加工時に割れや破損のリスクが高いため、適切な曲げ工具を使用し、曲げ速度や角度を慎重に設定する必要があります。

また、曲げ部分は金属が薄くなるため、これにより強度が低下することも考慮する必要があります。ブラケットが高荷重を支える必要がある場合、曲げ部分に補強を施すことで応力を分散し、強度を確保する方法が効果的です。場合によっては、リブや補強板を追加する設計提案も行うことで、より高品質なブラケットを製造することが可能です。

  • 溶接部による強度の低下

ブラケットの製造では、溶接加工もよく用います。強力な部品の接合方法ですが、適切に加工を行えないと接合部が弱くなり、強度や耐久性が著しく低下することがあり、最悪、事故につながるケースさえも存在します。溶接時には、適切な熱量と溶接速度を設定し、素材の厚さに応じた溶接方法を選択することが重要です。

溶接による欠陥として、割れや歪みが発生することがあります。特に厚い金属を溶接する場合、熱による膨張と収縮の差異が大きくなり、歪みや割れが生じやすくなります。これを防ぐためには、事前に適切な溶接準備(溶接ジョイントのクリーンアップや予熱など)を行いましょう。また、溶接後の冷却プロセスも重要で、急激な冷却は金属内部に応力を生み出す可能性があるため、自然冷却や適切な冷却方法を用いることが推奨されます。
さらに、溶接部は応力が集中しやすい箇所であるため、必要に応じて耐荷重試験等を行うこともあります。これは、サプライヤーが実施するとは限りませんが、ブラケットが長期間にわたって安定し、安全に利用されるために必要な工程と言えます。

弊社のブラケットの部品加工事例

次に、当社にて実際に加工した再生可能エネルギー関連製品事例をご紹介します。

1.産業向け軸回りブラケット製品

関根鉄工所が製造したブラケット
材質SS系
サイズΦ2500×H500
開発期間・納期の目安3ヶ月
公差レベル±0.05

SS系製の軸回りブラケットとなります。

ターニング設備を利用し、H7公差・真円・平面を確保し、製作しております。
また、材料調達から製缶溶接、機械加工、表面処理まで一貫生産にて対応した製品となります。
こちらは大物のブラケットとなりますが、小物~中物のブラケットの製造も多数実績がございます。お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

まとめ「ブラケットとは?」

モニター固定用ブラケット

本記事では、工業製品におけるブラケットに関して、種類や強度、製造方法等について解説しました。

ブラケットはあらゆる製品に用いられ、私たちの生活をも支える重要な部品です。その役割が大きいため、品質の担保は非常に重要で、製造する際には高い加工技術や検査技術が重要となります。また、ブラケットには多種多様な形状もあり、利用シーンに合わせて、適切な形状を選び、最大限の効果を得ることが必要です。

当社(株式会社関根鉄工所)は、大小問わず様々な金属製ブラケットの製品加工実績が多数あり、十分な検査も実施し、高品質のブラケットの提供を続けております。

ブラケット関連部品の製作で、お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

お問い合わせフォーム

お問い合わせ

加工に関するご相談・お見積り依頼などお気軽にお問い合わせください